ふ、この際あの鉄の塊から抜け出せたから良しとすべきか

しかし、何でこうあれだ、ほら

四足歩行難しいな!

うむ、動物万歳!

・・・・・・・現実逃避だな!





          

新世紀エヴァンゲリオンE


第参話 にゃ〜









 寝起きは最悪だった。シャツが寝汗でベットリと肌にくっついている。

「夢?」

よく状況が理解できない。僕は再び横になる。真っ白な天井が僕の目に飛び込んでくる。部屋自体も真っ白だった。

「知らない天井……か」

「にゃ〜」

にゃ〜?
 
 
 
 
『使徒再来か』

『余りに唐突だな』

『十五年前と同じだよ、災いは何の前触れもなく訪れるもの』

『幸いとも言える。我々の先行投資が無駄にならなかった点においてはな』

『そいつはまだ解らんよ、役に立たなければ無駄と同じ』

『さよう、今や周知の事実となってしまった使徒の処置、情報操作、ネルフの運用は全て適切かつ迅速に処理してもらわんと困るよ』

「その件に関しては既に対処済みです、ご安心を」

『しかし碇君、ネルフとエヴァ、もう少しうまく使えんのかね』

『零号機に引き続き、君らが初陣で壊した初号機の修理代、国がひとつ傾くよ』

『聞けばあのオモチャは君の息子に与えたそうではないか』

『人、時間、そして金、親子そろっていくら使ったら気が済むのだね』

『それに君の仕事はこれだけではあるまい』

『人類補完計画、これこそが君の急務だ』

『さよう、その計画こそがこの絶望的状況下における唯一の希望なのだ、我々のね』

それまで黙って聞いていた、バイザーをつけた老人が、ゆっくりと口を開いた。

『いずれにせよ、使徒再来における計画スケジュールの遅延は認められん。予算については一考しよう』

『では、あとは委員会の仕事だ』

『碇君、ごくろうだったな』

その言葉を最後にバイザーをつけている老人と碇ゲンドウ以外の全てが消え失せた。

『碇、後戻りはできんぞ』

その言葉を吐いたあと、バイザーの老人も消え失せた。

「解っている、人間には時間がないのだ」

 

「猫?」

にゃ〜と鳴き声がした方を向くと、一匹の猫が居た。

「起きたな?」

「うわぁ!?」

な、なな、な、ね、猫が、

「全く我は十年という時の中、今の今まで飯を食っていないんだ。速く何か食わせろ」

しゃ、しゃべってる!?な、なんだ!?・・・・・あ、そうか!

「まだ寝てるのか、早く起きないと」

そう言って寝ようとしたら、

「ふ、まあ、猫がしゃべっているんだ、無理もあるまい」

幻聴が聞こえてくる。早く起きないと。

「・・・・・うニャニャニャァァァーーーーーー!!!!」

「ひぎゃぁぁぁぁぁーーー!!!!!」



か、顔が・・・・、い、痛い。

「いいか?我の話をちゃんと聞け」

「・・・・・はい」

今、僕は奇妙な状況に陥ってる。

ベットの上に正座させられて、猫に説教されている。なんでだ?とりあえず、これが夢ではないことが解った。しかし、昨日の使徒とかジゾーとかは・・・・?

何処行ったんだ?

そんなことを考えていると、

「・・・・・と、言うことでな、ん?聞いているのか?」

「・・・・はい」

この糞猫。・・・・・・絞め殺してみようかな。

あ、そうだ蛇の道は蛇ってね。目の前にいるじゃないか。全く僕ってばこいつに聞けばいいんだ。

「あの」

「なんだ?我に飯をよこす気になったか?」

まずは、

「そうでなくて、貴方は誰?」

こいつの正体からだ。

「我か?我は初号機である」

「初号機?」

「貴様が乗っていたロボットだ」

・・・・・ああ、やっぱり夢じゃないのね。って、

「ずいぶん小さくなったね」

「全く貴様、何も覚えてないのか?」

「なにを?」

「・・・・・・説明してやろう。いいか?貴様は先の使徒戦で右目を貫かれたのは覚えておるか?」

「いや、攻撃が全然効かなかったとしか・・・・」

アレ反則だろ。殴っても刺しても効かないんだもん。

「そうか、ではそこから話そう。まず、お前はあの後右目を貫かれたのだ、今包帯しているのはそのせいだ」

あ、ホントだ。全然気づかなかった・・・・・。というか、この猫のせいで気づく暇なんてなかったような・・・・。

「では次に行くぞ。その後、我が痛みに耐えかね貴様からコントロールを奪おうとしたのだが、貴様は我にコントロールを渡すどころか我の意識を吹き飛ばしてしまったのだ。それからというもの時間にして約2時間。新たなる体を求めてさまよっていたら、死に掛けの猫がいてな。そいつの体を乗っ取ったのだ」

・・・・・こいつ、もしかして悪い奴?

「いや、しかし実を言うとお前には感謝しているのだ。あの鉄と肉の塊から出してくれたのだからな」

なんか、感謝されてる。・・・・・いいや、もう、考えるのメンドイ。

「じゃあ、よろしく初号機」

「・・・・・なに?」

「いや、何処も行くとこないんでしょ?僕これから叔父さんのとこ帰るんだけど、一緒について来れば?」

しゃべれる猫って面白いし、生涯で最高の思い出になりそうだなぁ〜。

「・・・・・ぷ、はっはっはっは!!面白いな、小僧!我を受け入れるとはな、下僕にしてやろうと

思ったが、お前は我の友だ!よろこべ!はっはっはっは!!」

・・・・結構豪快な猫だね。やって行けるか心配だよ。

そんなことを考えていると急に扉がノックされた。

「シンジ君、起きてる?」

この声はリツコさんとみた。

「はい起きてますよ〜」

「!お、おい!我がいるのだぞ!?」

猫が慌てる。別に猫だし、リツコさんに見られても平気だろう。

「シンジ君?誰かいるの?」

「いえ、大丈夫です」

そう言いながら猫をとりあえず布団の中に隠す。

「入るわね」

「どぞどぞ」

シュパっと音がして扉が開く。

「誰かとお話でもしていたの?」

「まさか誰もいませんよ」

布団がもぞもぞと動く。猫が暴れてる。自分から隠れようって言ったんだろ、全く。

「ふ、布団が動いてるようだけど?」

「き、気の「だぁぁぁぁぁ!!苦しいだろうが、アホタレ!!」・・・・」

あ〜あ、一分と持たなかったよ。やれやれだね。リツコさんが呆然としてる。

「シ、シ、シンジ君!?」

あ〜やっぱり。なんか嫌な予感。とりあえず謝っておこう。

「はい、すみません勝手に猫な「貴方の猫なのね!?かわいいわぁ〜!!毛並みもそろってて、何より黒猫ってとこがいいわねぇ〜」・・・・・り、リツコさん?」

なんかトリップしてる。まさか猫好き?ていうか、何か用があったんじゃ?

「にゃ、にゃ〜ん」

「鳴き声も素敵ぃ〜」

よし、チャンスだ初号機、その調子しゃべったこと誤魔化すんだ。



「にゃ〜ん」「かわいいぃ〜」

って、お前ら。

「・・・・・いつまでそうしてるつもりですか、リツコさん」

かれこれ30分ぐらいこんなことしてるぞ?

「は!?そうだったシンジ君。ちょっとついて来て貰えるかしら?」

「え?まだ帰っちゃだめですか?」

また使徒が出たとか・・・・・・?い、いやだなぁ、そんなの。

「帰る?だめよ帰っちゃ。貴方はこれからエヴァのパイロットになってもらうの」

は、はいぃぃぃ?なんですとぉぉぉぉ?

「使徒は倒したんじゃないんですか!?」

また出たのか?また出たんだな?コンチクショー!いくら僕でも無理があるぞ、病み上がりだし、1億でも死ぬと思う。

「違うのよ。使徒はまた来ると思われるわ。だから貴方にはパイロットを続けてもらいたいのよ」

・・・・・はぁ〜。

「パイロットではなくアルバイトならいいですよ」

「どういうこと?」

「正式なパイロットは辞るのに時間かかるでしょ?でもアルバイトなら辞められるし」

辞めたくなるかもしれないし、そうしたら、辞められないって凄く酷いね。

「解ったわ。司令・・・貴方のお父さんにはそう伝えておきます」

「じゃあ給料の方は?」

もちろん、これくれないならやんないっての。

「一回の出撃で4700万でどう?」

おおう、そりゃもちろん、

「おっけ〜、やりますよ」

「助かるわ。それじゃついて来て」

「あ、そうだ、猫も良いですか?」

「ええ!もちろん!」

・・・・・な、なんだかなぁ。



その後、猫と僕はリツコさんに連れられて、リツコさんの仕事部屋で二、三質問されて、精密検査を受けて、これからのことについて話していた。

「それで、一人で住むなら本部の一室を貸すけど、どうする?」

「え〜っと、とりあえず地上で暮らしたいんですけど」

いくら人工の光が入ろうとも自然には勝てんからね。

「私と一緒に住めれば良いのだけれど、生憎、仕事が忙しくてね」

「先輩!私がシンジ君預かりますよ!」

それまで話を聞いていた、リツコさんの助手(?)が話しに入ってくる。

「あの、リツコさん、その人は?」

「あ、はじめまして、シンジ君。私、伊吹マヤ技術部長補佐。よろしくね」

「そうね、マヤ、貴方がシンジ君の保護者になってもらうわ。貴方の家ならミサトも近くに住んでるし、警護も簡単になるわ。それでいい、シンジ君」

う〜〜〜〜ん。悪い人じゃなさそうだし、いっか。

「ええ、解りました。猫も良いですよね?」

「かまわないわ。よろしくね、え〜っとこの子の名前は?」

「私も聞いてなかったわね。名前なんていうの?」

あ・・・・・名前決めてなかった。どうしよう、え〜と、

「夜叉だ。赤木と伊吹だな?」

「「え゛!!!!????」」

あっれぇ〜、しゃべっちゃったよ、この猫。いいのかよ?

「ね、ね、猫が・・・・・・バタン!!」

「せ、先輩!?」

おおぅ、リツコさんが倒れた。

「ふ、現実に対処できないとは、情けない」

猫改め夜叉がなんか酷いこと言ってる。無茶苦茶だ。

とりあえず、その後はリツコさんを椅子に座らせ、起きないうちにとっとと逃げた。その際、マヤさんも手伝ってくれて助かった。マヤさん、以外に・・・・・・。



その頃のミサトさん。

「シンジくぅ〜ん、どこ〜(滝涙)」

病院をさまよっていた。






後書き

やっとマヤ登場。あと、初号機猫化。

う〜ん。









いいや。おしまい







管理人の話
初号機かぁーわぃっげふんごふん…初号機、夜叉という名前らしいです…。初号機の性格が…たまらなく好きです。はい。
でわ。

感想はBBSメール で。

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