便利屋
第三話 契約成立
「やー!!ここがドイツか!!!ビールはうまい!!ウインナーも最高!!!」
「何親父くさいこといってんですか…。」
「良いじゃないか!!!マナ!!!ビールは人類が生み出した最高の飲み物だよ!!!君もそう思わないか?」
「…あんな苦いだけの飲み物何処が良いんですか?」
「かぁーっ!!これだから子供は困る!!!」
髪が伸びっぱなしのナイスミドルと、茶髪をショートカットにして、少し目はたれている少女が話していた。
「はぁ…シンジ…どうしてるのかなぁ…。」
脇で騒ぐコウジを無視してマナは一人つぶやいた。
レイは一人で何をするわけでもなくただ天井を見上げていた。
何もない…。
ただただ静寂…。
その静寂はある人物によって破られた。
「綾波レイ…確かレイって名前だったよな…。」
ピー プシュッ
そこには中性的な整った顔立ちをした少年がいた。
「当たった!!やりぃ。」
「……。」
「大丈夫か?」
「…誰?」
シンジは名刺を差し出した。
「こういうものです、以後お見知りおきを…。」
「い…かり…碇 シンジ…碇。」
「あぁ!!それそれ、ここの司令が僕の糞親父なんだよ!!つまり肉親ってわけさ。」
「碇司令の息子…?」
するとシンジはこれまで浮かべていた人のよさそうな笑みを取り払っていきなり殺気をまとった。
「あんな髭…親と認めたわけじゃないけどな…。いつか…殺してやる…。」
シンジはそういって邪悪な微笑を浮かべるとポケットの中のバタフライナイフを握り締めた。
「………。」
しかしシンジは目の前の少女が怒ったような目でこっちを睨んでいるのがわかった。
レイはいきなり怪我をしていない手を振りかぶってシンジの頬をはたこうとした…。
が、それはシンジの手により止められた。そして一本閃光がきらめいたかと思うと、レイの首筋にはバタフライナイフが光っていた。
しかしレイは身じろぎもせずにずっとシンジを睨んでいた。
しかしシンジは険しい表情だったのが、いきなりあわてたようになって、ナイフをしまった。
「ごっごめん!!!僕攻撃まがいのことされると反射的に攻撃態勢にうつっちゃうんだ!!わりぃ!!」
そういって手を合わせる。
しかしレイはずっとシンジを睨んでいる。
「…そんなに僕の親父が好きなのかい?」
「私が信じているのはこの世で碇司令だけ…。」
「悪いな…俺にはあんな父親信じることなんて到底無理だよ。」
そういったとたんまた平手が襲ってきた。
今度はシンジも予測していたのか、反撃するわけでもなく、ただ受けた。
「…イタ…。」
女の子に殴られるなんて始めてなんだけど…。
シンジは考えていた。
「碇司令を侮辱しないで…。」
「やだね…。」
また平手が飛んできた…。
口の中が切れた。
「いったー。」
この少女には珍しく激情してる。
口の端から血がたれる。
また平手が飛んできた。
シンジはレイを見た。
平手をすることで傷が開いたのか辛そうな表情をしている。
「へー。お前はあの糞親父がいい人間に見えるのか。僕には極悪非道の悪の親玉って風にしかみえねぇなぁ…。」
また飛んできた。
両ほほを完全に赤くしたシンジは
「はぁ…じゃあ僕は帰るから…。早く怪我治せよ…。」
と出て行こうとした。
が思わぬ人物に出会った。
「何故お前がここにいる…。」
そのころ…
「ちょっとぉ。何でシンジ君いないのよぉー」
ミサトはもぬけの殻になった病室で一人涙を流していた。
「何故お前がここにいる…。」
上から睨むように威圧している。
「は?ざけんな?てめぇこそなんでここにいるんだよ?」
「お前には関係ない。」
一般人には十分通用する威圧もシンジにはまったく効いていない。
「まぁいいや。僕はあの麗しき美少女を口説こうとここに来たのさ。」
レイは後ろで目を白黒させて見ていた。
「あんた…ロリコンか?子供が好き?犯罪になるからやめろよ…。親が犯罪者じゃ商売上がったりなんだよ…。」
ゲンドウは黙って聞いている。肩が震えてることから、ちょっと頭にきているのだろう。
「そういえばレイって母さんに似てるよな…母さんの変わりか?ほー、いい度胸だな、自分の妻がいなくなったからそれに生き写しの
少女に愛を語る…立派なご趣味で…。」
すると、ゲンドウも切れたのか、胸倉をつかみ、頬を拳で殴ろうとした。
しかしそれはかなわなかった。
シンジは後ろにいた。
ゲンドウはサングラスの上からはわからないが、驚愕に目を開いていた。
首筋に当たる冷たい感触。
背中に当てられるごつい感触。
「悪いね…僕、攻撃されると思わず反撃しちゃうんだ。」
シンジは冷たく言った。
「忘れるなよ…お前は僕がいつでも殺せる位置にいるんだ…
下手なことをしてみろ?次の日にはぼろぼろで海に浮かんでるぞ?」
ゲンドウの背中に冷たい汗が流れた。
「解ったな?今日は見逃してやる…。次はないと思え…。」
シンジはそこまでいうと、思いっきりゲンドウの側頭部を拳骨で殴った。
ゲンドウはその衝撃で通路の左側に全身を強く打ちつけた。
そして腹部をこれでもかというほどに蹴った。
苦しげに息を吐き出すゲンドウ。
シンジはゲンドウに目もくれずその部屋を去っていった。
余談だがこの病室にはカメラが設置してあり、常にそれは録画されている
大人になったシンジが
「まぁ…若気の至りってことで…。」
と顔を真っ青にしながらゲンドウに謝ったのはまた別の話。
「シンジ君…何処行ったの?」
ミサトはまだ泣いていた。
そこに少し激しい親子喧嘩を終えたシンジが帰ってきた。
「あれ?ミサトさん?どうしたんすか?」
「し…んじくん?」
「そうですけど…。」
「良かったぁー。もう何処行ったのかと。」
「あぁ、僕なら綾波の部屋に行ってました。」
その言葉を聴いた瞬間、ミサトは泣くのを止め、意地の悪そうな笑いをした。
「あらシンジ君、レイのこと好きになったの?」
しかしシンジは悲しそうな表情を少し見せたあと
自分の頬を指差して
「嫌われちゃいましたよ…。」
見るとまだ赤くなっている。
「うーん、シンちゃんも災難ねー。」
シンジはいつの間にか呼び名がシンちゃんに変わっていることに気づいたが
別にかまわないと思っているのか気づかないふりをした。
「あ、そうだ、副司令のとこに案内してください。親父じゃ話になりませんから。
いるんでしょ?補佐役の人。」
「あぁ、いるけどどうしたの?」
「本格的に契約しようと思って。」
司令室には副司令 冬月コウゾウと、ゲンドウがいた。
「碇、どうしたそのあざは。」
「…問題ない…。」
さっきから何を聞いてもこれだった。
コウゾウはいい加減うんざりしていた。
まぁおそらくシンジ君を怒らせて親子喧嘩でもしたのだろう、とか考えていた。
事実その通りなのだが。
そこに二人は来た。
プシュ
「失礼します、葛城ですが、サードチルドレンが本格的に契約をしたいとのことで…。」
「あぁ解った。葛城一尉、さがっていいぞ。」
「はっ。」
ミサトは軽く敬礼すると部屋を出て行った。
今度はシンジが入ってきた。
「こんにちわ、副司令。冬月さんでしたっけ?初めまして。」
「あぁ、シンジ君。初めまして。」
「単刀直入にいいますと、僕は便利屋なので、サードチルドレンになっても良いけど条件があるんですよ。」
「何だね?」
もう既にゲンドウがいないかのように話している。
シンジも相当怒っているのだろう。
シンジは紙を取り出した。
「それは何だね?」
冬月はシンジに聞いてみた。
「契約用紙です。職業柄いつ依頼が来るか解りませんので。」
シンジはそういうとその契約用紙にペンで書き込んでいった。
それはこうだった
今回の出撃に対する報酬10億円
これからの出撃 一回につき1億円
これからの給料 一ヶ月1億円
これからの危険手当 一回の出撃につき1億円
使途に止めを刺したときのボーナス 5億円
使徒撃退以外でのネルフへの貢献 一回につき10億円
ネルフでの仕事で怪我したときの保証金 2億円
実験代 月2億円
命令に従うための金 月2億円
任務時以外の基本的自由
過激的命令の拒否権
作戦への意見権
知る権利
監視・護衛はいらない
プライバシーへの干渉一切無し 見つかった場合1億円
基本的給料 計 五億円
使徒襲来時の特別給 最低 2億円 最高7億円
特別任務時 10億円
「…このぐらいですかね?」
「な…っ!!」
「どうですか?契約します?」
「もうちょっと安くならんのかね。」
その言葉にシンジは眉をひそめた。
「こっちは命を懸けてるんですよ?いままでの命がけの任務っていうのは
軽く100億ぐらいもらってたんですから。今回は親族サービスってことで安くしてるんですよ?」
「し…しかし。」
「シンジ…。」
ゲンドウが突拍子もなく声を掛けた。
「なんだい?親父。」
「この知る権利というのは何だ。」
「あぁこれは、実験とか、そういうものを俺が自由に見たり知ったりできるっていう権利さ。
いきなり実験をやるとか言われても無理だろ?」
「ダメだ…。」
「じゃあ契約はなかったことに。」
しかしそれにコウゾウは声を張り上げた。
「碇!!!」
「なんだ。」
注 ここからはひそひそ声です。
「初号機はシンジ君じゃないと覚醒しないんじゃないのか?」
「問題ない、洗脳する。」
「馬鹿かお前は!!自分の息子の素性ぐらい知ったらどうだ!!」
「何?」
「シンジ君は裏の世界ではほとんどが知っているという
あの便利屋の『サノバデビル』だぞ?」
「何だと?」
「あぁ、うちの諜報部員どもが何をやってもシンジ君にはかなわないだろう…。」
「…どうすればいい。」
「表向きは握らせとけばいい。知ってもらいたくない情報は、もっと上のランクに上げるんだ。」
「うむ、それでいこう。」
注 ひそひそ声終了
「解ったシンジ君。この条件のもう。」
「オッケー。商談成立ですね。あ、それから俺の階級は大佐ぐらいにして置いてください。」
「うむ、解った。」
シンジは出て行こうとするが、少し止まって振り向く。
「あ、そうそういい忘れてたけど、報酬一円でも足りなかったら
全力であんたら二人殺しますからそのつもりで…。じゃぁ、そゆことで。」
今度こそ完全にシンジは出て行った。
あとには二人が残された
「碇…このシナリオの修正容易ではないぞ。」
「ふ…問題ない。」
「あ、シンジ君お帰り。どうだった?」
「あ、契約してもらいました。ついでに僕の階級大佐ですのでよろしく。」
「へ?大佐?わたしよりうえぇぇー?!」
「あ大丈夫です。あんまりふざけた命令じゃない限り僕いうこと聞きますから。
それから作戦に意見もできますので。まぁ素人なので、どうかよろしく。」
ミサトはそれを聞いてげっそりした。
(あぁ…私の立場はどうなっちゃうの?)
後書き
うぅ…なんか…俺って文才ないなぁ…。あマコTです。
なんだか…支離滅裂です。
シンジの一人称が俺になってしまう…何回直したことか…。
しかもシンジがレイに嫌われてるし…。
あぁーキャラが勝手に動く…。
何しろ小説なんてめったに書かないもんで…。
まぁ、いいや。次回もお楽しみに。
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